2009年5月8日金曜日

topping of life??

今日は本展のタイトルについてお話ししたいと思います。

すでにご紹介した展覧会趣旨にあるように、topping of life というのはオーギさんのアート観を示すために私がつくった言葉です。「アートは人生そのものではないけれど、人生をちょっと豊かにし、あるいはガラリと変えることもありえる、人生のトッピングのようなもの」。これもオーギさん自身の言葉ではなく、オーギさんの話を私なりに抽出したものですが、要は、art=topping of life<life。

まずは生活、生きること、があります。アートの話をしていても「すべてはよく生きるために」「自分の作品を体験してくれた人が、ちょっとでも前向きな気持ちになってくれれば」、オーギさんの口からはそんな言葉がよく出てきます。当たり前のことかもしれまんが、オーギさんのアートを紹介するには、ここを伝えたい。そんなふうに考えました。

そもそもオーギさんは、二人の子ども(中学生でありながら人生の酸いも甘いもかぎ分けたかのような、しっかり者のお姉ちゃんと、どこまでも奔放でやんちゃくれの男の子)のお母さん。ご飯つくって、掃除洗濯して、学校の先生とお話しして、クラスのお母さんたちと情報交換して、ご近所付き合いも地域活動もむげにはできず、、、それでなくても、毎日、忙しいのです。なのに、やっぱりアートをつくりたい、気づけばアートをつくってしまう、というアーティストの悲しい(?)性。アーティストとして強い信念と確信を持ちつつ、生活者として笑顔で大らかに生きていく合わせ技は、涙なくして獲得できるものではないでしょう。

さらにひとつ。トッピングといえば、どちらかといえば表面的とか、たんなるお飾りとか、どちらかといえば消極的なイメージ。その言葉をあえて使ったのは、直接的にはオーギさんがチョコレートを使ったワークショップをよくされているので、そのチョコレートからの連想で。間接的には、私が最初に書いて、最終的にはボツにした次の展覧会紹介文から見てとってもらえるかもしれません。

たとえばここはアイスクリーム屋さん。「トッピングはいかがないさいますか?」と聞かれたら、あなたはどう答える派? ぼくはまちがいなく「いえ、けっこうです」と答える否定派。トッピングとかしたらアイスクリームの<本質>が分からなくなってしまうじゃないか、などと堅苦しいことを言ったりもする。では、オーギカナエさんはどうだろう。「えーと、じゃあ、アレとコレにしようかな」と、とたんにワクワクしはじめるんじゃないだろうか。そしてそのうち、アイスクリームの<本質>さえもひっくり返す画期的なトッピングを思いつくような、そんなアーティストである。

表層が本質をひっくり返す、トッピングが本体をガラリと変える。その面白みと可能性をオーギさんの「アート」は持っているような気がしているのです。

じゃあ、「森」は?? それはまた、次のお話で。

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